行動・心理症状(BPSD)って何?わかりやすく解説!

認知症

認知症について調べていると、行動・心理症状(BPSD)という言葉が出てきます。

よく目にする言葉ですが、あまりよく理解していない人も多いと思います。

この記事では、行動・心理症状(BPSDについて、わかりやすく解説していきます。

中核症状と行動・心理症状(BPSD)

認知症の症状は大きく2つに分けられます。中核症状行動・心理症状(BPSD)です。

それぞれ見ていきましょう。

中核症状

中核症状とは、脳の機能低下によって、直接起こる症状のことを言います。

例えば、風邪を引いたときに、咳が出たり、鼻水が出たりします。これは、風邪を引いたら避けることのできない症状です。

認知症の症状も同じように捉えることができます。風邪を引いたら咳が出て鼻水が出るように、認知症になると中核症状の記憶障害や見当識障害、実行機能障害等の症状が出てしまいます。

それぞれ説明していきます。

記憶障害

認知症の記憶障害は、新しいこと、最近の出来事を覚えることが難しくなります。食事をしたことや、どこかに出かけていたことも忘れるようになっていきます。昔の記憶は比較的覚えていることが多いです

見当識障害

今がいつで、ここがどこなのかという、自分が今おかれている状況を把握することが難しくなります。時間や季節がわからなくなったり、ここがどこなのか、目の前にいる人が誰なのかもわからなくなることもあります。多くの場合、時間、場所、人物の順にわからなくなると言われています

予定をたてて行動することが難しかったり、季節に合わない服装したり自宅のトイレの場所がわからなくなる等の症状があります。さらに進行すると、自分の家族の顔もわからなくなることもあります。

理解・判断力の低下

理解すること、情報を処理するということが難しくなります。1度に2つ以上のことを言われたり、早口で言われたりすることで、理解、情報の処理が難しくなります。

目には見えない仕組みを理解することが難しくなります。銀行のATMの操作や、最近で言えば、セルフレジやスマホの操作とかが難しくなります。

曖昧な表現に対して、適切な行動をとることも難しくなったり善悪の区別がつかなくなることもあります

わかりやすい言葉でゆっくりと伝えることが大切です。また、「暖かい格好をしてください」という曖昧な表現ではなく「寒いのでコートを来てください」と具体的な表現で伝えることが必要です。

実行機能障害

物事を計画的に、順序立てて行うことが難しくなります

健康な人は、大根と油揚げの味噌汁を作ろうと思ったら『冷蔵庫に油揚げがあったから、スーパーで大根を買ってこよう』と足りないものだけを購入し、予定していたメニューを作ることができます。

しかし、冷蔵庫の油揚げの存在を忘れてしまって、大根も油揚げも両方買ってきてしまい、冷蔵庫に油揚げが溢れてしまう。ということに繋がります。

忘れてしまったり、計画的に行えなくても、料理ができないわけではありません。認知症の人に包丁を持たせるのは危険だと考える人もいるかもしれませんが、近くで見守りながら、安全を確保すれば、認知症の人にも料理は可能です。できない部分を見極めて、必要なことだけ支援します。できないことよりもできることみ目を向けてみましょう。

例えば、昔お花を育てていた人に、役割としてお花の水やりをしていただいたり、洗濯物をたたんでいただくとかでも良いと思います。たたむのがぐちゃぐちゃにたってしまってもいいんです。「ぐちゃぐちゃになるからたたまないで」ではなくて、たとえぐちゃぐちゃになったとしても「ありがとうございます。こっちで一緒に温かいお茶でも飲みましょう」と一言、声をかけてあげてください。洗濯物も心もフワッと仕上がりますよ。

失語・失認・失行

失語は、言葉の理解、表出が難しくなります。聞こえた言葉の意味を理解できなかったり、自分の思いを言葉として表現することが難しくなります。

失行は、服を着る、箸を使ってご飯を食べる等、日常的に行っていた動作が難しくなります。

失認は、認識が難しくなったり、自分の身体の状態、自分と物との位置関係の認識が難しくなります。
時計を読むことができなくなったり、物によくぶつかることもあります。

行動・心理症状(BPSD)

行動・心理症状(BPSD)とは、中核症状と2次的要因によって複合的に引き起こされる症状です。周辺症状と言われることもあります。

2次的な要因とは、本人の性格や生活環境、人間関係等を指します。

例えば中核症状である見当識障害により、自宅にいるのに、トイレの場所がわからないことにより不安を感じている人がいたとしましょう。このような状況では、誰でも不安を抱きます。そんな不安な状況の中、周りの人に「なんでわからないの!」と周りの人から責められたりするような2次的な要因により、さらに不安は募り、混乱してしまいます。その結果、徘徊や暴力といった、行動・心理症状(BPSD)が現れます。

行動・心理症状(BPSD)は、周囲の不適切な対応や、不安やストレス等の心理状態が要因となり現れる症状です。認知症の人からしたら、周りにいる人環境の一部であることを忘れてはいけません。

大切なのは、原因を探るということです。なぜ不安なのか、何が心配なのか、本人が安心できるような対応をすることで、行動・心理症状(BPSD)は減少していきます

大切なのは、「行動・心理症状の方の混乱や不安の原因を理解すること」です。ご本人が安心できるよう、混乱しないように適切な対応をとることで、穏やかに生活することが可能となり、症状が現れることなく日常生活を送ることができます。逆に、理解されないことで症状がより悪化し、介護が困難となるケースもあります。

具体的な症状は下記のようなものです。

徘徊

徘徊とは、あてもなく歩き回ることとされています。

私自身は、徘徊という言葉自体が、不適切な言葉であり、誤解を生んでいる気もしています。
私は、あてもなく歩き回っている人なんて見たことありません。

徘徊している人は「家に帰りたい」「家族に会いたい」「食事の準備をしなければならない」と何か目的を持って歩いています。徘徊をしている背景には必ず理由があります。

なぜ徘徊しているのか、何に不安を感じているのかを探り、安心できるような声かけや対応を行うことが望ましいです。

暴言・暴力

認知症の人が、暴言・暴力に至ってしまう理由は様々です。中核症状と、その症状に対する不安や恐怖から暴言や暴力に至ってしまうことがあります。

暴言・暴力が現れた際、最もやってはいけない対応は、言葉で責めた理、力で対抗したりすることです。もちろん自己防衛のため、やむを得ない場合もあると思いますが、叱りつけたり、抑えつけたりする対応は原則としてやってはいけません。

ですが、周りの人、ご家族はご自身を責めてはいけません。どれだけ相手を思いやり、愛情を持った介護をしていても、このような事態は起こってしまう可能性があります。

認知症による暴言・暴力に対しては、距離をとって落ち着くまで待ったり、別の人に対応を代わってもらったり、誰かに話を聞いてもらうという対処法が有効的です。

ろう便

ろう便とは、自分の便を触り、周囲の物や壁とうに擦り付けてしまう行為です。周りで介護している人にとって、身体的にも、精神的にも負担が大きくなります。

便を漏らしてしまったことが恥ずかしく、隠そうとしたり、どう処理して良いかわからず、ろう便に至ってしまいます。

こまめに排泄ケアを行なったり、排泄のペースを管理し、適切なサイクルに繋げることで、失禁のリスクを少なくできます。

他の行動・心理症状(BPSD)

行動・心理症状(BPSD)には他に、昼夜逆転、異食、収集癖、性的逸脱行為、抑うつ等があります。

それぞれ、別の記事で、具体的な症状とその対応について、解説します
今後、記事を作成しましたら、リンクを貼り付けます。

終わりに

今回の記事では、行動・心理症状(BPSD)とは何かを解説してみました。

認知症の症状には必ず理由がありますその理由を探り本人が安心できるように対応するということが大切です

別の記事で、行動・心理症状(BPSD)の具体的な症状とその対応についても解説します
今後、記事を作成しましたら、リンクを貼り付けます。

実際にご自身や、ご家族が認知症のことで悩んでいるという方や、認知症について知りたい方に、少しでも寄り添える記事を書いていきたいと考えております。

何か、ご質問等ございましたら、お問い合わせフォームからお問い合わせください。

本日はご覧いただき、ありがとうございました。

たかはしポム太郎

コメント

タイトルとURLをコピーしました