介護施設の課題/転倒防止センサーの入れ忘れ防止の為の取り組み

介護

筆者:たかはしポム太郎

資格:介護福祉士、介護支援専門員、認知症ケア専門士、キャラバン・メイト、登録販売者、チームオレンジコーディネーター研修修了、ユニットリーダー研修修了、認知症チームケア推進研修修了、認知症介護実践リーダー研修修了

私は介護の現場で働きながら、介護や認知症の研修を開催や、情報発信をしています。10年間の介護現場での経験、資格取得等で培った知識を発信していきます。介護や認知症について不安を抱いている方々に役立つ情報をお届けできればと思っております。少しでも不安が解消され、今抱えているお悩みに寄り添えたら嬉しいです。

なぜ入れ忘れが起こるのか

介護の現場において、転倒予防センサーの設置は、利用者の安全を守るために欠かせないツールのひとつです。特に認知症の方や夜間に離床しやすい方、バランスを崩しやすい高齢者には、ベッドセンサーやフロアセンサーの使用が推奨されています。これらのセンサーは、利用者の動きに反応して職員に知らせることで、事故のリスクを大幅に減らす効果があります。

しかし現実には、これほど重要な機器であっても「入れ忘れ」が発生することがあります。そしてその一瞬のミスが、大きな事故や転倒につながってしまうことも少なくありません。ではなぜ、センサーの入れ忘れという基本的な業務に「抜け」が生じるのでしょうか。

現場の忙しさ

その要因のひとつに、現場の多忙さが挙げられます。介護職員は一人で複数の利用者を担当し、時間帯によってはナースコール対応や排泄介助、食事介助などが同時に重なります。そんな中で、頭の中で覚えていたセンサー設置の予定が他の業務に押し流され、うっかり忘れてしまうことがあるのです。

また、シフトの切り替わり時には、申し送りミスによってセンサーの使用が伝わらないこともあります。とくに新人職員が担当になった場合設置すべき対象者を見落としてしまうケースも見られます。

センサーの扱いに慣れてしまう

もう一つ見落とされがちな要因が、センサーの扱いが当たり前になっていることです。長く勤務している職員にとって、センサーの使用は習慣化されていますが、それに安心して設置した気になっているという心理が働き、実際には設置していなかったというケースもあります。これを「記憶の錯誤」と呼ぶ心理的現象で、ルーティン化された作業ほど注意が散漫になりやすいという側面があります。

環境の変化

そして設備や環境の変化も要因のひとつです。例えば、ベッド位置の移動、機器のメンテナンス、配線の取り替えなどによって一時的にセンサーを外したあと、戻し忘れるというパターンもあります。センサーが正常に作動していなかった、電源が入っていなかった、設置場所がズレていたというトラブルが起きることもあります。

このように「ちょっとした油断」や「環境要因」が重なることで、センサーの入れ忘れは誰にでも起こり得るのです。大切なのは「誰かの責任」として処理するのではなく、「どうすれば防げるか」を仕組みとして考えること。次回以降の記事では、現場でできる具体的な対策や工夫を一つずつご紹介していきます。


入れ忘れによるリスクとは

転倒予防センサーの入れ忘れが引き起こすリスクは、単なる「機器の設置忘れ」では済まされません。特に高齢者施設や病院などでは、その一瞬のミスが重大な事故へとつながる恐れがあります。まず考えなければならないのは、利用者本人の「身体的なリスク」です。

センサーが機能していない状態で離床した場合、誰にも気づかれずに転倒してしまうことがあります。特に夜間や見守りが手薄になる時間帯は要注意です。転倒による骨折、打撲、頭部外傷は高齢者にとって命取りになることも少なくありません。結果として入院や長期の療養が必要になるケースもあり、QOL(生活の質)が一気に低下してしまいます。

次に重要なのは「信頼関係の崩壊」です。家族にとっては、施設に大切な家族を預けているという意識があります。センサーの設置がされていなかったことで転倒が起きたと知れば、「なぜ防げなかったのか?」と疑問や不信感を抱くのは当然です。施設や職員への信用が損なわれるだけでなく、口コミや評価にも影響する可能性があります。

さらに、現場の職員にも大きな心理的ダメージがあります。「自分のせいで事故が起きてしまった」と感じることは、強いストレスとなって残ります。中にはそれが原因で退職を選ぶ人もおり、離職率の上昇につながることも。事故報告書の作成や家族への説明など、精神的にも時間的にも大きな負担がのしかかります。

そして見逃せないのが、施設全体としての「法的・制度的リスク」です。重大事故が発生した場合、行政の指導や監査対象となる可能性があります。介護保険の指定取り消しや業務改善命令といった厳しい処分が下されるケースもあります。

このように、センサーの“入れ忘れ”は、単なるうっかりミスではなく、施設全体に波及する深刻な影響を持つ問題なのです。だからこそ、次章以降で紹介するような“仕組み”による対策が必要なのです。

ルーチン化で身体が覚えるしくみを作る

介護の現場では、人のミスを人の注意力で防ぐというのは現実的ではありません。忙しい中、頭で覚えておこうとするのは限界があります。だからこそ、転倒予防センサーの入れ忘れを防ぐうえで最も基本的かつ効果的なのが、ルーチン化による対策です。

ルーチン化とは、ある行動を日常業務の流れに組み込み、考えなくても自然に体が動くようにすることです。たとえば、起床介助をしたらセンサーを入れる、パッド交換後にセンサーの位置を確認するなど特定のケア行為とセットで行うルールをあらかじめ決めておくのです。

実際に筆者が関わった施設では、以下のようなルーチンの導入で効果が出ています。

起床時の声かけ+センサー確認のセット化

夜勤明けのスタッフが、朝の巡回時に「おはようございます」と声をかけながら、同時にセンサーの設置状況や電源を確認するようにしています。これを徹底することで、夜間の入れ忘れや外れたセンサーを朝の時点で把握できるようになりました。

「寝具整え」→「センサー確認」→「記録」の流れを習慣化

ベッド周辺の整理整頓の流れの中で、センサーの再設置や配線の状態確認も組み込みます。このときに気づいた不具合はその場で修正。さらに、「センサー確認済み」と記録することで、後続スタッフも安心してケアが継続できます。

ルーチンの良さは、考えなくても体が動くという仕組みになる点です。新人職員でも慣れてくれば、自然と「このタイミングでセンサーを確認する」と体が覚えてくれるようになります。

ルーチン化の注意点

ルーチン化には注意点もあります。それは思考停止に陥らないようにすること。毎日同じ流れで動いていると、かえって「やったつもり」「設置したつもり」という錯覚が生まれることもあります。これを防ぐには、「声に出して確認する」「指差し確認を取り入れる」「記録に残す」など、“見える行動”を加えるとより効果的です。

また、ルーチンを作る際には、チーム内での統一が欠かせません。誰か一人だけのルールになってしまうと、申し送りや引き継ぎがうまくいかなくなります。シフト間での共通手順として確立させることで、職員の異動や人員交代があっても、入れ忘れリスクは大幅に下がります。

最後に、ルーチンは“見直し”も大切です。現場の声をもとに、「今のやり方で本当にミスは減っているか?」「ルーチンが形骸化していないか?」を定期的にチェックし、必要に応じてアップデートしていく姿勢が重要です。

つまり、ルーチン化は「意識に頼らず、仕組みで守る」ための土台です。毎日の介護の中に、自然にセンサー確認を溶け込ませることが、確実な安全につながります。

目に見えるチェックリストの活用

転倒予防センサーの「入れ忘れ」を防ぐうえで、ルーチン化と並んで重要なのが「チェックリストの活用」です。介護現場では多数の利用者に対して多様なケアを行うため、誰にどの機器を使っているか、いつ確認したのかが目に見える形で残っていることが非常に重要です。

実際、現場で起こる入れ忘れの多くは、「設置したつもりだった」「別の人がやってくれていると思った」「情報が引き継がれていなかった」といった、“見える化”の不足によるものです。これを解決するのが、視覚的に情報共有できるチェックリストの仕組みです。

アナログ派:紙のチェックリストや掲示物の活用

アナログな方法であっても、効果は絶大です。たとえば、各フロアや居室のホワイトボードに「センサー使用者一覧」を貼り出しておくことで、職員全員が誰にセンサーが必要かを一目で把握できます。朝・夜の巡回時にチェック欄へチェックマークを記入することで、確認の“見える証拠”が残り、次のシフトの職員も安心です。

他にも、ベッドサイドに「センサー使用中」というマグネットカードを設置する施設もあります。センサーの配線が隠れていたり、センサーが小型で視認しにくい場合でも、目印があることで確認忘れを防げます。特に新人職員にとっては「これは注意が必要な方」という判断材料になるので、教育効果も高まります。

デジタル派:タブレットやアプリの活用

ICTが導入されている施設では、介護記録アプリのチェックリスト機能を使うことも効果的です。例えば、「起床介助時」「就寝前」などのタイミングで、システムが「センサー確認済みですか?」と表示され、確認しないと次に進めないような仕組みにすることで、意識的な確認を促せます。

さらに、個別記録の中に「センサー設置・確認欄」を追加しておけば、「いつ」「誰が」「どのセンサーを」「どう確認したか」が記録に残ります。万が一事故が起きたときの振り返りや再発防止にも役立ちます。

チェックリスト活用のポイント

  • 貼る場所は動線上に:確認作業が自然に目に入る位置(該当者の部屋前、詰所、職員トイレなど)に掲示しましょう。
  • 定期的な更新を忘れずに:チェックリストが古いままだと逆に混乱を招きます。毎日の更新がルールとして徹底されていることが大切です。
  • チームで共有できる形で作成:チェックリストを使うのは一人ではありません。手書きでもデジタルでも、誰でも見てわかる・書き足せる・更新できる工夫が必要です。

失敗事例から学ぶ

ある施設では、夜勤者がセンサーを外したまま帰宅し、日勤者が設置を忘れ、転倒事故が発生しました。チェックリストがなかったため、誰が・いつ・なぜ設置しなかったのかが曖昧になってしまい、責任の所在もはっきりしませんでした。

このような事態を防ぐためにも、「確認したら記録する」「記録したものをチームで共有する」という2段階の“見える化”が重要です。

チェックリストは「誰でも、いつでも、同じ基準で」確認・記録ができる仕組みです。紙でもデジタルでも、自施設に合ったスタイルでの導入が、センサー入れ忘れゼロへの第一歩となります。

チームでのWチェック体制

転倒予防センサーの入れ忘れを防ぐには、「個人の注意力」に頼るのではなく、「チームで見守る仕組み」が必要です。その中でも特に有効なのが、“Wチェック体制”の導入です。これは、一人の職員が確認・対応するのではなく、2人以上で相互に確認することを仕組み化するという方法です。

介護現場では、時間帯によって人員の数や業務の集中度が異なります。夜勤では一人で複数の利用者を担当することもあり、「あの人はセンサーついてたっけ?」と迷いながら動くこともあります。そんな中で一人だけで確認・判断していると、どうしても「うっかり」が起きやすくなります。

なぜWチェックが効果的なのか?

Wチェックの最大のメリットは、「人はミスをする前提で対策できる」点です。人間の脳は、記憶を頼りに行動する際に錯覚や思い込みを起こしがちです。そこで、二人目が“確認者”として入ることで、万が一の見落としを早期にキャッチすることができます。

特にシフト交代時や夜間の業務前後には、Wチェックが非常に有効です。たとえば、夜勤者が退勤する前に、日勤者と一緒に以下のような流れで確認する仕組みが考えられます

  • センサー設置対象者リストを2人で確認
  • ベッドやマットの実物で設置状態を目視確認
  • 電源・感知範囲・配線の状態をチェック
  • チェック完了を申し送り帳または記録システムに記入

この流れを毎回の交代時に組み込めば、チェック漏れがほぼゼロになります。

実際の現場での成功事例

あるユニット型施設では、センサーのWチェックを義務化したことで、1年間に4件あったセンサー入れ忘れによる転倒事故が0件になりました。ポイントは「誰が誰と確認するか」が明確にされていた点です。担当者を毎回決めず、交代時には必ず「退勤者+引継者」がチェックするというルールに統一していました。

また、日中帯でも「ベッド清拭後はペアで設置確認」「居室移動後の設置チェックは二重チェック」という仕組みを徹底し、日常的な動きの中で自然にWチェックが行われるようになっていました。

チェックの「見える化」も同時に行う

Wチェックは“やったつもり”になってしまっては意味がありません。以下のような仕組みで“見える化”することも大切です。

  • チェック済みの欄に両名のイニシャル記入(紙またはアプリ)
  • チェックリストに「1人目確認者」「2人目確認者」欄を設ける
  • チェック後、必要に応じて写真で保存(ICT活用の場合)

記録に残すことで、後から「本当にやったのか?」という不信感も防げますし、責任のなすりつけ合いになるような事態も未然に防げます。

注意点:Wチェックが“形式だけ”にならないように

Wチェックは、形だけ行ってしまうと逆に危険です。たとえば、1人目が設置ミスをしていても、2人目がただ「はいはい」と流してしまえば、意味がありません。だからこそ、“確認するポイント”を明確化し、共通認識を持つことが大切です。

たとえば、「マットがズレていないか」「コードが抜けていないか」「感知範囲が正しいか」など、チェックリスト化することで、誰が見ても同じ基準で確認できるようにしましょう。

Wチェック体制は、センサー忘れだけでなく、様々なリスク管理にも応用可能です。チーム全体で「安全を支え合う文化」を築いていくことで、入れ忘れゼロを目指すことができます。

センサーそのものを見える化

転倒予防センサーの入れ忘れを防ぐには、設置の確認がスムーズに行えることが重要です。そのためには、センサーそのものを「目に見える形にする」=見える化の工夫が非常に効果を発揮します。

介護現場では、センサーが小型で目立たなかったり、ベッドやマットの下に隠れていたりして、設置されているかどうかが一見して分からないことがあります。こうした状況では、チェックそのものが忘れられたり、「ついていると思い込む」リスクが高まります。そこで、一目で「使っている」と分かる視覚的な工夫が求められます。

見える化アイデア1:色や形で存在を主張

最もシンプルかつ有効な方法は、センサー機器や付属コードの色を工夫することです。例えば、配線コードを蛍光イエローや赤など、視認性の高い色に変更するだけで、設置されているかどうかがすぐに分かります。センサー本体に目立つステッカーやラベルを貼っておくのもよいでしょう。

また、センサー設置中の目印として、「センサー使用中」カードやマグネットプレートをベッド横や室内ドアに掲示する施設も増えています。誰が見ても「この人は今、転倒予防センサーを使用中である」とわかるので、職員間の申し送りがなくても判断できる安心感があります。

見える化アイデア2:専用ホルダーや固定具の導入

センサーの誤作動やズレも入れ忘れと同様に重大な事故につながる可能性があります。そのため、設置状態が安定し、かつ見た目にも明確な専用の固定具や設置スタンドを使うことも有効です。

例えば、フロアセンサーであれば「決まった位置に置くガイドラインマット」を敷いておけば、ズレていた場合にも一目で違和感に気づけます。また、ベッド下のマットセンサーがずれないようにするための面ファスナー付きのホルダーなども市販されています。

見える化アイデア3:照明やランプでON状態を視覚化

最近では、センサーが作動状態にあるときにLEDランプが点灯するタイプの製品もあります。視覚的に「今、センサーはONです」と分かるため、確認のためにいちいちコードや電源を手で触る必要がありません。

特に夜間など暗い時間帯には、微弱なLEDが光っていることで、「ちゃんと入ってるな」と安心して巡回を終えることができます。

また、「センサーが作動したらナースコールと連動して赤ランプが点灯する」といったような連動型のアラーム機能を活用しておくと、誤作動や未設置にも早く気づけるようになります。

アラーム連動・自動記録型センサーの導入(ICT活用)

現場の努力や工夫だけでは限界がある。それが介護現場のリアルです。だからこそ、テクノロジー(ICT)を活用した「仕組み」そのものを導入することが、転倒予防センサーの“入れ忘れ”を根本から防ぐ鍵になります。

近年では、従来のセンサーに比べて進化した「アラーム連動型」「状態記録型」のセンサーが多く開発・導入されてきています。これらは単に“人が動いたら音が鳴る”だけでなく、設置状況の可視化や通知・記録の自動化が可能な機器です。

アラーム連動型センサーとは?

これは、センサーが利用者の離床や動作を感知した際に、ナースコールと連動して通知が届く仕組みのものです。例えば、フロアセンサーで離床を感知すると同時に、職員用PHSやナースステーションの端末にリアルタイムでアラームが鳴ることで、迅速な対応が可能になります。

さらに、センサーが正しく設置されていない場合に警告音が出るタイプもあります。たとえば、ベッドセンサーのコードが外れていたり、電源がOFFのままになっていたりすると、「設置ミス」があったことを職員に知らせてくれます。

こうした機能は、「気づかずにミスが発生する」ことを防ぐうえで非常に有効です。

自動記録型センサーのメリット

一部の最新型センサーは、いつ設置されたか・作動履歴があったかを自動で記録する機能を備えています。これにより、以下のようなことが実現できます。

  • センサーの使用履歴をログとして保存(事故後の振り返りに有効)
  • 誰が・いつ・どこで設置したかを記録し、責任の所在を明確化
  • 複数職員間での確認・申し送りの質を向上
  • クラウド経由で管理者が全センサーの状態を一元把握

つまり、**「人が覚えておかなくてもよい仕組み」**を作ることで、入れ忘れの可能性を大きく下げることができるのです。

導入時のポイント

ただし、ICT機器の導入には注意点もあります。

  • 初期費用と維持費がかかる:施設の規模によっては全床分の導入が難しいケースも。
  • 職員への操作研修が必要:慣れないうちは混乱を招くこともある為マニュアル整備が必須。
  • 導入して満足では意味がない:ICTを導入しただけでは防止にはならず使いこなす仕組みが必要。

したがって、機器の性能だけでなく、「どう活用するか」「どこに導入するか」を現場と一緒に考えることが大切です。

ICTの力を借りることで、センサーの設置状況や作動状況を“見える化”し、人の記憶や確認に頼らない、より強固な安全体制が構築できます。「うっかり忘れた」が許されない現場だからこそ、テクノロジーの活用は次の一手として検討の価値があります。

現場スタッフの声と成功事例

転倒予防センサーの“入れ忘れ”を防ぐための工夫は、現場で働くスタッフの声や経験から生まれることが多くあります。ここでは、実際に現場で試みられ、成果を上げた成功事例をいくつかご紹介します。

事例①:「マグネットカード」で設置ミスがゼロに

ある特別養護老人ホームでは、「センサー設置中」と書かれたマグネットカードを作成し、対象者の居室ドアに貼るルールを導入しました。カードは赤色で目立ち、職員がドアを開けるたびに必ず視界に入ります。

こちらは、筆者が作成した、実際に使用しているマグネットカードデザインです。
このままコピーして、使用していただいても構いません。

事例②:「センサー使用チェック表」で申し送り漏れ防止

あるユニット型施設では、各シフトごとに「センサー使用チェック表」を記入・引き継ぐ仕組みを徹底しました。「使用中」「一時外し中」「未使用」などの状態を欄ごとに分け、見やすく整理。退勤時には“口頭の申し送り”だけでなく、“書面でも伝える”仕組みが生まれました。

事例③:「気づきメモ」でWチェック文化を育てた

センサー設置後の確認をWチェックで行う体制を取り入れた介護付き有料老人ホームでは、チェック時に気づいたことをメモに残す運用を始めました。メモは共有ボードに貼る形式で、特に注意が必要なケースは赤枠で囲んで強調表示。

現場の声には、マニュアルやシステムでは拾いきれない“リアルな課題と工夫”が詰まっています。センサーの入れ忘れ防止策は、特別な設備だけでなく、「気づき」と「仲間との共有」から生まれるアイデアでも実現できるのです。

入れ忘れ防止はチーム力

転倒予防センサーの「入れ忘れ」は、一見些細なミスに見えても、重大な事故や信頼の損失、職員の心理的負担につながる深刻な問題です。そして、どんなに経験豊富な職員であっても、忙しさや環境の変化、うっかりミスによって発生してしまうことはあります。

だからこそ重要なのは、「ミスを責める」ことではなく、「ミスが起きにくい仕組みを作る」ことです。

本記事では、ルーチン化、チェックリストの活用、Wチェック体制、見える化、ICTの導入など、様々な具体策をご紹介してきました。どれも大切なのは個人に任せない体制づくりです。つまり、センサーの確認や設置を「誰かひとりの責任」とせず、チーム全体で支え合う意識が鍵となります。

現場で起きるミスの多くは、忙しさの中で「共有不足」が原因であることが少なくありません。情報が伝わっていなかった、役割分担が曖昧だった、という場面はどの施設でも起こりうることです。だからこそ、「確認は一人ではなく二人で」「口頭だけでなく、見える形でも共有する」といった工夫が、安全管理を飛躍的に高めてくれます。

そして、入れ忘れ対策のもうひとつの大切なポイントは、「改善が続く現場」になることです。一度決めたルールに固執するのではなく、「最近ミスが減ってきたけど、本当にこのままで良いか?」「ICT機器の通知、うまく使えてる?」といった振り返りをチームで行い、改善を積み重ねていく文化を育てていくことが、結果的に現場全体の安全と安心を支えることにつながります。

事故を“ゼロ”にするのは簡単なことではありません。しかし、チームの力と小さな工夫の積み重ねが、限りなくゼロに近づけていく力を持っているのです。

おわりに

最後までご覧いただきありがとうございます。

読者の皆さまの現場でも、今日ご紹介したアイデアのひとつでも参考にしていただければ幸いです。センサーの「入れ忘れゼロ」それは、職員の誰かひとりの努力ではなく、チームで実現する安心のかたちです。

たかはしポム太郎

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