「認知症ケアについて理解を深めたい」「専門的な知識を身につけたい」と感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、実際に認知症ケア専門士に1発で合格した筆者が、概要や受験資格、勉強方法等を解説します。
認知症ケア専門士とは
認知症ケア専門士は、認知症ケアのスペシャリストです。
認知症ケア専門士は、一般社団法人日本認知症ケア学会が主催する、更新制の民間資格です。
介護の分野だけではなく、医療の分野で認知症ケアに携わる人も、数多く受験しています。
認知症ケア専門士は、国家資格ではありませんが、認知症の分野では有名な資格で、認知症ケアについて専門的な知識があることを証明する資格です。
会社によっては、認知症ケア専門士の資格に対して、資格手当をつけているところもあります。
認知症ケア専門士になるには
認知症ケア専門士の受験資格
認知症ケア専門士認定試験を受験するための条件は、下記のように定められています。
認知症ケアに関する施設、団体機関等において、試験実施年の3月31日より過去10年間において、3年以上の認知症ケア実務経験を有する者
認知症ケア専門士の資格取得までの流れ

申請
認知症ケア専門職試験を受験するためには、受験の手引きを用意する必要があります。受験の手引きは、インターネット、電話、FAXで注文が可能です。定価は1,000円です。
受験の手引きが手元に届きましたら、内容をよく確認して、必要書類を準備しましょう。
受験者1人につき、1部の受験の手引きが必要です。複数人でコピーして使用することはできません。また、昨年度以前の受験の手引きもご利用になりませんので、ご注意ください。
詳しくは、こちらの公式サイトの内容をご確認ください。
https://www.dcq-ex.net/text.html#programming
1次試験
1次試験は、各分野50問/4分野の合計200問(マーク式・五者択一)で、認知症ケアの基礎、認知症ケアの実際Ⅰ:総論、認知症ケアの実際Ⅱ:各論、認知症ケアにおける社会資源の4分野全てに合格する必要があります。
出題範囲は認知症ケア標準テキストに準じた内容です。各分野、試験時間は1時間です。受験料は3,000円/1分野です。
全ての分野、70%以上の正答率で合格となります。
もし不合格の分野があっても、次年度以降は合格した分野は免除となり、不合格だった分野のみを受験することが可能です。
※各分野の有効期限は5年間です。
2次試験
無事に1次試験、4分野全てに合格したら、次は2次試験です。2次試験では、事例問題に対する論述(3題)です。
期日までに、作成した答案と必要書類を所定の封筒に入れ、提出します。受験料は8,000円です。2026年度から9,000円になるようです。
合格要件は、論述において下記の5つの要件を満たしていることです。
- 適切なアセスメントの視点を有している者
- 認知症を理解している者
- 適切な介護計画を立てられる者
- 制度および社会資源を理解している者
- 認知症の人の倫理課題を理解している者
2026年度より、論述試験の内容が変更されるようですので、公式サイト等で、確認してください。
コロナの影響で、中止していた面接試験は、正式に廃止になるようです。
合格発表後
2次試験の論述試験を終えたら、ついに合格発表です。
2次試験にも無事に合格したら、倫理研修を受講して、登録申請、資格取得という流れになります。
登録には、15,000円の費用が必要です。
認知症ケア専門士の更新について
認知症ケア専門士の資格取得後、5年ごとの更新が必要になります。更新費用は10,000円です。
更新には、学会または学会が認定する講座への参加や、論文発表等により、5年間で30単位以上を取得する必要があります。更新期限までに30単位取得できない場合は、保留申請により、1年間期限を延長することができます。
認知症ケア専門士の合格率
一般社団法人日本認知症ケア学会によると、2024年の認知症ケア専門士認定試験の合格率は45.7%でした。
近年の合格率は、50%前後で推移しています。二人に一人は合格できる数値ですね。
余裕を持って、準備すれば、誰でも合格に届くラインだと思います。計画的に準備を進めましょう。
認知症ケア専門士の試験対策
自分に合うテキストを探す
筆者はこの方法で合格することができました。まずは書店に行ってみてください。ネットで探すのも良いでしょう。自分に合う1冊を見つけて、その1冊をとにかく読み込むことがベストだと思います。試験対策用のテキストを活用することで、効率良く学習を進めることができます。
何度も繰り返し読み込むことで、自然と頭に入ってきますよ。
おすすめの参考書はこちら
過去問を解く
過去問を繰り返し解くのも良いでしょう。どんな問題が出題されているのかを知ることで、苦手な分野も明確になるので、苦手を克服することにも繋がります。そして知識量、得点力を確実に向上させましょう。
過去問で、本番の出題形式に慣れておいて、気持ちに余裕を持って本番に臨むことができます。
公式テキストを活用する
一般社団法人日本認知症ケア学会で、公式テキストを販売していますので、そちらを活用するのも良いでしょう。文字が多くても、確実に内容を把握したい方には、公式テキストがおすすめです。
公式テキストを丸暗記できれば、合格点は間違いないでしょう。
対策講座を受講する
時間に余裕があり、お金をかけてでも、しっかりと試験対策をしたい人は、受験対策講座を受講することもおすすめです。
受験対策講座は開催日時が限られているため、自身のスケジュールに合わせて利用を検討してください。
認知症ケア専門士を取得するメリット
認知症ケア専門士の資格を取得するメリットとして、以下のようなことが挙げられます。
正しい知識が身につき、自信が持てる
認知症ケア専門士は、認知症に対する正しい理解、認知症ケアの正しい技術や知識を身につけている証明になります。冒頭でもご紹介しましたが、認知症ケア専門士は認知症ケアのスペシャリストです。
知識や技術は、自身のケアに対する自信に繋がり、実践場面で必ず役に立ちます。これは大きなメリットとも言えます。
高い評価が得られる
認知症ケア専門士は民間資格ですが、介護の業界では、知名度が高い資格です。認知症ケア専門士の資格を取得することで、会社によっては、資格手当や給料アップに繋がる可能性もあります。
試験自体は、決して簡単ではありませんが、だからこそ、資格を取得できた時の、周りの評価は高くなるでしょう。
職場内のみならず、認知症の人の家族からの信頼を得ることもできるでしょう。
認知症ケアのニーズは今後もますます高くなることから、転職の際にも、強い武器となるでしょう。
チームの認知症ケアの質を向上させられる
認知症ケア専門士の資格取得で得たスキルは、自身だけではなく、同僚や他職種にチームとしても共有することができます。
認知症ケア専門士の資格取得で得たスキルをもとに、小さな成功体験を積み上げていき、組織全体の質の向上が見込めます。自分の学びが、チームで行うケアの質を向上することに繋がるのです。ますますやりがいのある仕事になりますよ。
終わりに
最後までご覧いただき、ありがとうございます。
認知症ケア専門士は、これからますますニーズが高まる資格のひとつです。認知症ケアの質を向上させたい人は、ぜひ受験を検討してみてください。
認知症ケア専門士について、詳しく知りたい方は、こちらの認知症ケア専門士認定試験公式サイトをご確認ください。
https://www.dcq-ex.net
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